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2020年6月1日

兜太の一句


合歓の花君と別れてうろつくよ 兜太

 みな子他界のあとは、生前の細かい言葉遣いや仕種が、何彼につけて思
い出されて辛かった。どれほど自分が勝手に振る舞ってきたかと思うこ
とも頻りに。「君」は言うまでもなくみな子。「うろつくよ」がその後悔
を抱えつつ、なんとも頼りない気持ちで暮らしている自分。福井の俳句
仲間と別れ、トンネルを抜けて滋賀に出たとき、車窓に合歓の花が覗い
たのである。そのとき「うろつくよ」の言葉がとび出す。  (『日常』)

君と言うのは、奥さんの皆子さんです。10年あまり癌を病み亡くなりま
した。トラック島から帰り、お見合いながら可憐な皆子さんに恋した兜太
でした。
皆子夫人の実家は有名な眼科で、今でも皆野にあります。
金子先生は昔の男ですから、やはり亭主関白で仕事に俳句に忙しかった
夫を支えたのは妻でした。
甘え放題だった妻がいなくなり心に穴があいたのでしょう。
「君と別れてうろつくよ」と妻恋の金子先生です。
合歓のピンクの煙るような花は老いても、美しかった皆子夫人そのものです。