2020年1月8日

句集『敵は女房』並木邑人



略歴
1948年 千葉県市原市生れ
1986年「海程」入会、金子兜太に師事
1992年 現代俳句協会会員、[海程]同人
1994年 父並木凡生句集『帰燕』編集発行、句集『遊陣』発行、合同句集『海程新鋭集第4集』発行
1999年「遊牧」同人
2012年 共著『|現代俳句を歩く』発行
2016年 共著『現代俳句を探るj発行
2018年 師金子兜太逝去、「海程」終刊。後継誌「海原」創刊同人、「遊牧」同人
現 在
現代俳句協会理事 千葉県現代俳句協会会長、市原市俳句協会副会長

帯            檜垣梧樓

宿敵は  ずっと女房   秋ざくら

 宿敵とは実力が伯仲する競争相手のこと。好敵手ともいい、
相手に対する敬意のようなものが含まれる。邑大と奥様は
文学のみならず人問学の競い合いをして来たのでは。それ
も邑人の学生時代から。照れくさそうな邑人の顔が見える
が、掲句、邑大が気合いを込めて表明する奥様への愛であ
る。句集名『敵は女房』の拠って来たる所以である。
                      
自選十句

一角獣座より伝声管の冬ざくら
満員電巾擬態の青柚子をさがす
洗濯機に入れておしまい邑人句集
星読みによき鯨骨の椅子二脚
MRI画像のあっ風花
熱帯夜この寝室も野辺のひとつ
春昼のフンコロガシになってやる
街も春川もことごとく薙ぎTSUNΛMI来る
憲法は死にますか今朝蕗を煮る
シナモンをさっと振りかけ秋霖デモ



管理人 竹丸選
石斛の残んの花を抓むべきか否か
子(ね)の星の青き臼より卍かな
眼薬の一糸の隙(ひま)を星奔る
蟷螂に星刈るしぐさありにけり
夏燕ああ父の愛は黒き鍔なり
稲穂垂る男女(なんにょ)しずかに脱ぎ合えば
鳥帰る空の疲れを縫い込めて
破蓮とても耿(あか)るい船倉です
他界のことと思うな茫とあぜを塗る
海酸漿と咲きし魂あまたの叔父
鰓呼吸したし正論に食傷し
検印の手紙に海の匂いのこと
感情の罐詰届く曼珠沙華
貨車ゆけば枯野の透視図法なり
冬の蝶想像力の先飛べり
蝉の穴虚数を蔵うためにある
屈託はシンプルに咲く煙の木
青谿は星産むところ軍論も
影踏みの影だけ残る寒茜
結界に裏窓がありあけび熟る

 TSUNΛMIの抄
津波。そして時間は動かざり
伝えきれぬ魂であり逃水は
原発のための原発舌苔濃き
根刮ぎという失禁の秋の浜
こめかみに三・一一忌縄を綯う
隠し田に犇めく蝌蚪や地震の報
蛇穴に十万年を何としよう
           
                           

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