2018年2月18日

句集「女のうしろで 」 らふ亜沙弥

金子兜太一句鑑賞

お蚕のむにゅむにゅむにゅと縮むかな  らふ亜沙弥

 小生のような山国秩父育ちに養蚕が盛んに行われていた時間を少年期に持つものはこの擬態語が何ともいえない。作者の体験のなかにもあるのだろうか。いや、まったくなくて都会人の俳諧感覚だけで捉まえたものかもしれないが、とぢらかといえば後者か、となれば、体験はともかく作者の「肉体」の美趣として、こんな感応が根付いているのかも知れぬ。

 自選句
 
 いのこずちつけて男の一泊す

 寝室に飾ったままの春の銃

 元旦や虫は見つけたらつぶす

 麻酔切れ口の中からかたつむり

 スイッチはみんな乳首だ鱗雲

 今日中に食べてほしいの菊膾

 機関車に抱かれる夢や日向ぼこ

 六月尽体じゅうから種こぼれ

 夏の星私の中の散らかって

 むらさきは女の色って春がいう


 竹丸はこの句集を頂き非常にとまどいました。
あらっ、らふさんてこういう句を書いていたんだ。
いつも諧謔っぽくひねりが効いてあれっと思わせる句でした。
海程人とは違う感触で目立つ存在だが、悪く言えば俗っぽ
いのですが諧謔こそ、俳句の本質の一部分と思っていました。

 しかし、この句集は一句一句は意味はそれほど込められて
いないですが、まとめて並べると「男と女」がざれあっていると
いう視点が濃厚です。

よくも悪くも特徴が際立ち物語りめき面白かった。
竹丸は第一章「あの時の顔」が楽しく読めましたので
これを抜粋してアップします。

 いのこずちつけて男の一泊す
 三人の男の寝息火の用心
 三人で眠るベッドやピラカンサ
 葛の花雑魚寝の端は夫の友
 間引菜や寝返り打たぬ人の横
 見られたってかまわないから夏薊
 あたしより蛇を選びし男の手
 雷や僕でよければなどという
 見るだけの男かじるだけのトマト
 太ももに東京タワー夏真昼
 むらさきの袋に男をしまう夏
 空蝉や次の男は筋肉質
 一夜茸いつも女房を連れてくる
 星月夜男二人で修理する
 五月闇男結びがほどけない
 首しめるか抱きしめるか花火散る
 愛染明王不能となりて芒原
 手淫する夫の背中に薪くべる
 二ン月のあれは私の男です
 舌先に残る男や枇杷の花
 秋薊抜けば飛び出す男あり
 逆さまに眠りて花野白く見ゆ
 リラの花結婚前提だからね
 ああという声だしている鶏頭花
 雪しまき嫌いな人を聞いてみる
 梟やああおしゃべりな男たち
 男らの寒き唇壁にあり
 寒牡丹どうでもいいよな顔をして
 恋猫やたった一人も愛せない

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