2018年2月17日

句集『破顔』中村孝史(なかむら たかし)



略歴
中村孝史 略歴昭和11年  大阪市此花区に生まれる
昭和19年  山形県米沢市に疎開
昭和20年  山形県高畠町に疎開
昭和30年  山形県立米沢商業高校卒業
日本銀行仙台支店入行(在職中、本店、札幌、仙台、福島、仙台、金沢、仙台と転勤)
昭和49年  「海程」へ投句
昭和53年  「海程」新人賞
昭和54年  「海程」同人
昭和58年  現代俳句協会会員
昭和9年   日本銀行定年退職
現在     宮城県現代俳句協会幹事長
句集     『童顔』(平成3年刊)

高野ムツオ帯より
中村孝史は背が大きく手が大きい。どんなものでも、その手でぐっと掴む。力強く、限りなく優しく、それはそのまま中村孝史の俳句なのだ。

高野ムツオ十句選

薄氷の夕かげにありわが陸奥

子が娶りわが胸奥の植田澄む

石っころで居たし五月の陸前に

秋高し東北地方をてのひらに



秋潮のサーファー虚妄は陸にあり

無帽にて枯葉の音を深く聴く

荒星へ人間として距離保つ

冬の家瞳のように水を溜め

冬菫飛行船を待っている

姉体(あねたい)という村なりき雪深し


『破顔』自選三十句 中村孝史

人間に鬆の立つ頃か雪崩音

身ほとりにひとつの出口桜咲く

花見んと思い出一つ捨てて出る

花の昼大銭湯の秩序かな

付き合いは鉛筆感覚夕花菜

木の芽にはちぎれ雲佳し古街道

草むらは立憲君主国熊ン蜂

群舞には足りぬ摩文仁のまだら蝶

子が娶りわが胸奥の植田澄む

石っころで居たし五月の陸前に

信心うすき頭に似合う夏帽子

野放図に老い青梅雨の古道ゆく

透き通るものが似あいし日焼け人

失踪のごとく逝きたや夏布団

夏座敷友去りてより晴れ続き

銀行に酢のさみしさの夏祭

天高うして身の裡の影に寄る

官能のじっと動かず紅葉山

さくら紅葉わたしを裸体の気分にす

葛咲いて雲に海への距離思う

秋の野のシートのわれら漂着物

里芋の煮えた切り口この世かな

秋潮のサーファー虚妄は陸にあり

無帽にて枯葉の音を深く聴く

雲までのわれらが澱み十二月

冬の家瞳のように水を溜め

昼酒の男が頼る雪の山

冬の家瞳のように水を溜め

姉体(あねたい)という村なりき雪深し

雪霏霏とわが社会主義にも降り積もる

テロあるなバナナのごとく赤子あれ


0 件のコメント:

コメントを投稿