2018年2月18日

句集『まひるの食卓』室田洋子(むろた ようこ)

ふらんす堂 2,600円
         室田洋子(むろた ようこ)
   1960年、群馬県生まれ
   2000年「海程」入会 金子兜太に師事
   2004年 海程新人賞受賞
   現在「海程」同人 現代俳句協会会員

   帯より   金子兜太

   かなかなや考える椅子ちょっと貸して 
   室田洋子の作品は、豊かな一般性に恵まれている。
   感性が柔らかいので、書かれたものは日常を越えて、
   非日常の美を抱懐することが多い。 



    自選十句 

    かなかなや考える椅子ちょっと貸してl

    いなぴかり失恋体操していますl

    寒卵あっち向いてる長女かな

    ご飯というきれいなエネルギー白鳥来

    春動く肉の色してけずりぶし

    後れ毛や春をそわそわパラフィン紙

    青田波さあっと黒板消しました

    うつぶせのあなたのように夏銀河

    べン置いてまひるの食草浮巣めく

    夏岬わたしの一切蹴りあげる


           吾亦紅百年だって待つのにな

    白鳥とちょっと固めのご飯かな

    ひと恋いてかたき朧につまずきぬ

    青林檎きわどいカーブ加速して

    鳥帰る痛いところへ触れながら

    煮凝のどこまでが心なのだろう

    風信子ゆっくり響く長女です

    待つというこころの握力冬木立

    先生の仔犬のようなくしゃみかな

    話すたび薄氷われてゆきにけり

    全身でわたしを揺する夜の紫陽花

    誘蛾灯ふいに止まって男泣き

    冬瓜スープ煮つめてゆけば難破船

    白鳥来わたしうっすり埃っぽい

    秋の蝶合掌すれば腋冷えて

    音もなく人は毀れる草の花

    紅葉かつ散る論点どんどんずれる

    猪や父って案外面食いです

    冬満月仰いで何も祈らない

    わたしという私の敵よ牡蠣すする

    戦闘服のような娘の花衣

    実南天女系家族はせっかちで

    きさらぎの一重瞼の子を産みし

    連翹やどこか短期なハングル文字

    餡パンの重さにくぼむ晩夏かな




 

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