2017年11月18日

海程句集3【同人の章・さ行~た行】


 斉 木 ギ ニ
バックミラーに消える途中の白あやめ
五体投地なにか言いけり海を指し
みしらぬ岸を崖と名づけて旅つづく
はぐれてから記憶はじまる雁が飛ぶ
感情の広い林にパセリの家
この雪は積もるよと言う 思わない
一晩中鶴を通して鏡曇る
白樺は小鬼見終わり眠るかな
Smileを菫と書いて手紙終ゆ
ふらここという空中都市に一人かな


  齋 藤 一 湖
青山河薄い風景縫い合わす
素潜りはゆっくり空へ還るかたち
伊勢青し頑固な螺子が一つ取れ
鉦叩知恵なき我は打たれよう
原子村廻りは桃で囲もうか
金縛りのごと夕焼け見ておりぬ
風鈴や今夜の風が遅刻せり
曲り瓜どこか寄り道してるはず
最澄の一滴重し山の萩
凩のような説法聞いている

2017年11月16日

海程句集3【同人の章・あ行~か行】

「海程句集3」平成24年 金 子  兜 太

左義長や武器という武器焼いてしまえ
差羽帰り来て伊良湖よ夏満ちたり
夏の猫ごぼろごぼろと鳴き歩く
老母指せば蛇の体の笑うなり
長寿の母うんこのようにわれを産みぬ
定住漂泊冬の陽熱き握り飯
熊飢えたり飢え知らぬ子ら野をゆけり
病いに耐えて妻の眼澄みて蔓うめもどき
合歓の花君と別れてうろつくよ
言霊の脊梁山脈のさくら
今日までジュゴン明日は虎ふぐのわれか
マスクのわれに青年疲れ果てている
わが修羅へ若き歌人が醉うてくる
津波のあとに老女生きてあり死なぬ
今も余震の原曝の国夏がらす
被曝の牛たち水田に立ちて死を待てり
被曝福島米一粒林檎一顆を労わり
泣く赤児に冬の陽しみて困民史
東京暁紅ひたすらに知的に医師たち
樹相確かな林間を得て冬を生く

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