2017年7月26日

兜太句を味わう 「たっぷりと鳴くやつもいる夕ひぐらし」

      


たっぷりと鳴くやつもいる夕ぴぐらし (『皆之』)  
             
北武蔵は熊谷の郊外に常光院があり、私のいま住んでいるところに近い。その名刹の庭に立つと、晩夏の夕暮れなぞ殊にひぐらしが湧き立つように鳴いている。なかにはたっぷりと鳴くものもいて、単調ではない。「やつ」と友だちのような気持ちで呼んで、その鳴き声にひきつけられていた。郷里の山国秩父の晩夏も同じようにたっぷりした、ひぐらしの声に浸っていたものだった。その懐しさ。常光院のお庭にこの句碑をいただく。

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