2017年6月28日

兜太のエッセー 「アニミズム・いのちをいたわる」

蛇も一皮むけて涼しいか  小林一茶
 (くちなわも ひとかわむけて すずしいか)

 なつかしい人々との出会いのなかで、わたしは俳句をつくるようになり、深入りして、現在にいたっている。言いかえれば、そうした人たちが俳句をつくっていなかったら、わたしもつくることはなかっただろう、とまでおもっている。その人たちを、なつかしい日本人と言いかえたい気持なのだ。

 昭和十年代の初め、十代の終りごろに俳句をはじめているが、きっかけは旧制高校の一年先輩、出澤珊太郎(でざわさくたろう)(本名三太)との出会いにあった。

三太と兜太の、三と十の語呂合わせを、学生どもが集る飲屋のおかみさんがおもしろかって、まったく未知の二人を引合わせてくれたのだが、丁度そのとき出澤は学生句会をやろうとしていた。

頭数を揃えたい、ぐらいの気持でわたしを誘う。なんだか断れないで渋々出席。苦しまぎれにつくった一句が、なんとなんと好評だったのも奇縁だった。

人気の投稿