2017年3月19日

兜太のエッセー「うるか汁、お麵、酢饅頭」 


鮎の腸の黒い塩辛をうるかと言いますが、あれをおつゆに入れて味をつける「うるか汁」というのが秩父にあります。瞥油や味噌の代用で、サツマイモやジャガイモを刻み味が染みておいしかった。渋くてちょっと生臭い。

「一日に一食、必ずうどんを食ってたんです。山国で米が穫れないから、みんな麦に頼っていた。秩父に嫁ぐ女は、嫁入り道具に必ず麪棒を持ってきて、自分で打って家族に食わせる。
おやじは俳句が好きで、句会をやっていたのですが、その後に必ずお酒とお麪を出すわけなんです。
みんなで酒を飲んで『そろそろ奥さん、お麵くんねえか』。打って茹でておいたものを醤油のたれにつけてジュージューツと食べる」

酢饅頭も記憶に残っています。酢昧の効いた白い皮のなかに餡が入っている。小学校から引き上げるとき、ほかほか湯気の立つのがお菓子屋の店先に見えているわけだな。それを横目で見ながら駆けて帰って、おふくろから金をもらって買って食べた」「昧を言われれば、秋から冬の昧」
酢まんじゅうは秩父だけにしかない昔から引き継がれた食文化のおまんじゅうで、「食酢を使用しているのですか」と聞かれますが、米麹をつくり、36度程度の暖かい場所で発酵させ、酢をつくり小麦粉と混ぜたものを、パンと同じように発酵させたものです

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