2016年7月25日

兜太句を味わう「日本中央と・・・」「夏落葉・・・」




日本中央とあり大手鞠小手鞠    (句集・『両神』)
                           
下北半島の根もとにある東北町の歴史公園に、坪碑(つぽのいしぶみ)を納めた建物がある。
碑の高さ約一・六、幅一メートルほどで、「日本中央」の四文字が刻まれてあり、往古、大和朝廷の軍隊がこの地に攻めこんできたとき矢じりで刻みつけたものと伝えられている。「日本」は「ひのもと」と読み、太陽の出る東北の地、つまり現在の東北地方北部を指す――言葉とされている。
この句ができたのは十年ほど前、芭蕉「おくの細道」三百年の初夏だった。芭蕉が陸奥まで足をのばしたらどうか、というNHKの企画で、小松方正氏といっしょに歩いたのである。
http://kanekotota.blogspot.jp/2015/05/blog-post_83.html

夏落葉有髪(うはつ)も禿頭もゆくよ     『句集・両神』)

 梅雨も終わるころ、芭蕉「おくのほそ道」でも知られる白河の関で、NHKの衛星放送句会をやったことがあった。男女七名、関跡の暗い樹林のなかに散らばって句をつくり、それを持ちよったのだが、そのときのもの。
ぬれた青葉の林には、常緑樹の古葉が落ちていて、みょうに鮮明だった。濃緑の季節の落葉ということに、つまりは「夏落葉」という季語のなかに、人の境涯をおもわせるものがあるためだろう、句座の人たちは、「有髪」にただちに僧をおもい、「禿頭」とともに俗世間の人影を受け取っていた。関跡ということもあろうか。





人気の投稿