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海程社 0568-22-0073 3000円 |
――その人と作品を中心に――
〈はじめに〉
金子兜太は、96歳の現在もなお現役並みの俳句活動を続けており、今や俳壇のみならず、日本を代表する文化人の一人として、時代の牽引者の位置にあるといっていい。兜太自身、自らのアイデンティティは俳句であるというように、その生涯は俳句の歩みとともにあった。
長い俳歴の俳人は、兜太ならずとも見られるところだが、戦後70年の今日、これほどの脚光をあびているものは兜太をおいて他には見られない。では、なぜ今、金子兜太なのかが問われる。それには現在にいたる足跡の中に、その必然的な発展過程を見ておかねばならない。その上で兜太の現在を見極めてみたい。