2016年12月29日

兜太句を味わう 「湾曲し火傷し爆心地のマラソン」

『金子兜太句集』
湾曲し火傷し爆心地のマラソン             兜太

Twisted and seared
the marathon at the center
of the atomic explosion  (英訳・海程同人 小長井和子)


金子 これはまあね、極め付けだ。まあ前衛俳句なんて言われる のはこういう句からです。これと「華麗な墓原」と。ちょうど神戸から長崎が私の「前衛俳句」と言われた時期ですからね。 典型的な句です、この二つ。

池田 草田男が添削したりして。

金子 ほとんど全面的に直してた。「汚れて爛れて」ナントカカントカ、ほとんど全面的に直しちゃった。他は忘れましたけど。

池田 五句ぐらい。みんな添削して、それが失礼ですがちょっと。(笑)

金子 よくないんだけど、彼はこんな句は駄目たっていうんですよ。俳句を駄目にする、冒涜すると。もっと平坦に書けって。

池田 何に書いてあったのでしたっけ。研究者じゃないもので、読んで 「はは――」と思って、「資料」とか思わないもんですから、忘れちゃうんですけど。面白かったです。

金子 彼が座談会の席上でやったんじゃないかな。誰か他の人と。私の句が問題になって。これは非常に面白かったですね。

池田 ある意味で草田男の俳句への愛でした。安西篤さんにお聞きすればすぐ分かりますね。安西さんの『金子兜太』。あれはとっても分がりやすくて詳しくて、先生お幸せですね。ああいう人がいらして。塩野谷仁さんとか酒井弘司さんとか沢山のお弟子さんが、きちんと晝いていらして。

金子 幸せです。ええ。

池田 本当にこういう俳句は、金子兜太以外はないです。

金子 なかったでしょうね。今はもうあるかもしれないが。

池田 それはまあ、だんだんそういうのに慣れて影響を受けてってことで。こういう句はね、実は、良いのか悪いのか実はね、分りにくいんです。知でなく体に訴えられますから。

金子 (笑)ふふ。そう。

池田 いいのか悪いのか分らないですけど、何故こういう句ができるのかって、それで先ず打ちのめされちゃいますね。こんな句はなかった、他の人は思い付かなかったということが、まず第一の価値。

金子 これは池出さん不思議にねえ、あんまり正面からけなす入ってのはいない。無視だよ無視。草田男ぐらいだね、あとは無視、この句を。けなすっていう人いない、不思議な句。

池田 どう褒めたらいいか分らないんですよ、この句。でも思いが伝わるんです。どうしていいのか、そういうことを思うゆとりを持たせない。

金子 そういう点で前衛的なんでしたかねえ。

池田 言葉もすっきりしてますしね、どういうこと? つて考えなくていいし。

金子 けっこう映像が出ますからね。黒焦げの爆心地の。

池田 出ます。それが強いんですね。

金子 このリズム感がね、ドイツ語に訳すとけっこういいんです。ドイツ語訳が出てます。

池田 次はどうでしょうか、面白くないですか? 言葉は普通ですから作者はどうでしょう。
       
   (金子兜太百句を読む・ 池田澄子 ふらんす堂 2000E)

明日から8月です。兜太句を味わうは「原爆」の句にしました。草田男は一途な人なので俳句感が合わない句は添削したようですね。金子先生は、句は草田男、人間は楸邨と言ってます。このGoogleに越してきて1年半、検索がトップページに表示されずがっかりしていましたがやっとトップページに表示されました。内容は濃いと思うのですが、他のページリンクが無いからのようです。皆様のご支援があればこそです。これからもよろしくお願いします。      管理人・竹丸



人気の投稿