2015年6月27日

English translation of Kanetotota haiku

金子兜太の俳句英訳

彎曲し火傷し爆心地のマラソン  
wankyokushi kashoushi bakushinchi no marason 

Twisted and seared
the marathon at the center 
of the atomic explosion

English Translation of Mr.Tohta Kaneko& Mrs.Minako Kaneko                         
  
金子兜太自選10句 (The Most Favorite Ten Haikus selected by Tohta Kaneko himself)   

彎曲し火傷し爆心地のマラソン   wankyokushi kashoushi bakushinchi no marason 
Twisted and seared
the marathon at the center 
of the atomic explosion

霧の村石を抛らば父母散らむ  kiri no mura ishi o houraba fubo chiran
The foggy village 
my parents would be dispersed
if I threw a stone

人体冷えて東北白い花盛り   jintai hiete touhoku shiroi hanazakari
Our bodies feel chilly
white blossoms are in full bloom
in Tohhoku (Northern) District

どれも口美し晩夏のジャズ一団   doremo kuchi utsukushi manatsu no jazu ichidan
Each mouth 
is so lovely--a jazz group
in late summer

暗黒や関東平野に火事一つ   ankoku ya kantouheiya ni kaji hitotsu 
In the pitch darkness
one fire is seen    
on the Kantoh Plain

谷に鯉もみ合う夜の歓喜かな   tani ni koi momiau yoru no kanki kana 
Carp are jostling 
wild with night ecstacy
in the valley stream

梅咲いて庭中に青鮫が来ている  ume saite niwajuu ni aosame ga kite iru 
Japanese plums blooming
blue sharks have come
all over my garden

猪が来て空気を食べる春の峠    hishi ga kite kuuki o taberu haru no touge
A wild boar
is coming to eat air
at the spring ridge

冬眠の蝮のほかは寝息なし     toumin no mamushi no hoka wa neiki nashi
No sound of breathing 
except that of a viper 
in hibernation

酒止めようかどの本能と遊ぼうか    sake yameyouka dono honnou to asobouka 
Shall I stop drinking?
and which instinct
shall I indulge in? 

2015年6月24日

金子兜太の句を味わう「水脈の果て炎天の墓碑を置きて去る」


ふらんす堂 2000E  2011刊
水脈(みお)の果て炎天の墓碑を置きて去る    金子兜太

『少年・金子兜太句集』                            

池田 この墓碑は、何で作ったんですか。
金子 石、石。もちろん石。かなり大きい石。
池田 あ、棒じゃないんですか。
金子 棒じゃないです。棒の墓碑ももちろん二、三本立ってますよ、す
   でに。最後に石にしたんですね。これもエピソードがありましてね、
   カナカ族の酋長に土地を借りないかんわけ。置く場所を借りる。カ
   ナカ族は酋長が居ますから、各島にね。ところが酋長が未だに土地
   を貸してくれないと、これはトラック島を訪問した人の話です。日
   本の軍隊に対する憎しみを持ってるわけだ。けっこう最後は彼らの
   食料を取り上げたり、女性に対してもひどいことをしてますからね、
   だから怒ってるんだ。今でもこの墓碑は寝てるっていう話がありま
   す。これは行ってきた大から最近、最近っていっても数年前ですが
   聞きました。実際は「置きて去る」つて、立ってるというわけじゃ
   ないんだけど、でもまあ、貴女の言うとおり、木の墓標と合わせて、
   それも含めて何本も何本もあるから。


池田 それが海の方から見える。実際に見えるわけではないでしょうけど
   心に見える。

金子 見えるという思い。実際は見えない。遥かに遠ざかったからね、夕
   方でしたからね、見えない。見えるという思い。だからカナカ族の
   ほうで土地を貸してくれないなんて問題は、この句にとってはどう
   でもいいんです。私の中で映像としていつまでも消えない。今でも
   消えないと言っていいでしょうね。これが戦後俳句の私の出発です
   から。

池田 トラック島からは何も、遺骨は帰らなかったんですか?

金子 遺骨は……、私はそれに立ち会ってないから。最後の船で私は来た
   んですけどね。トラック島にいたカナカ族と結婚してる日本人もた
   くさんいたんですよ。その人を極力連れて帰れという命令で私もそ
   の仕事をやったんですけどね、それはやったんですが、遺骨の収集
   についてはその時やってない。私は少なくとも関係してない。他の
   連中はどうか知らないですが。

池田 私の母の弟がニューギニアで、一応遺骨は帰ってきましたが、何も
   入っていませんでしたね。私の父は漢口で亡くなったんですよ。軍
   医で亡くなったので院長がちゃんと遺骨を帰してくださったんです
   が、船が沈んじゃったんです。で結局は帰ってこなかったです。

金子 いろいろ、多くの人がそういう思いをしてますね。遺骨収集団とい
   うのはもちろん行ってるでしよ。トラック島もずいぶん行ってます、
   遺骨の収集に。その人たちがかなり持って帰ってます。

池田 三橋敏雄がいろんなところに遺骨収集に行ってます。どこかではね、
   遺骨っていうのは土に還れば目出度いんですって。そこの島の土着
   の人にとってはね。それをわざわざ収集に行って、掘り返すのが分
   らないんですって。向こうの人たちには。

金子 あ、ぴたり。我々が最後引き上げた連中の若手だけ集まって「南十
   字星の会」つていうのがあって、それの世話焼きしてる梅沢ってい
   うのが、そのことを言ってた。自分が行ってみて、椰子の木に抱か
   れていると、今では。これをわざわざ掘り起こす必要はないと、私
   は全部そのままにして帰りましたと。その思いはあるみたいね。

池田 こういうことを実感として経験してらっしやるということは、不幸
   ではあるんですが、逆説的に言えば幸せ、書く人にとっては人より
   も心にいっぱい詰まったものがあって。

金子 ただ俺の場合はほれ、生々しく死んだ連中を置いて帰ってるから。
   今のは収集に行った連中の話しだから。その実感はあまりないな。
   でも多分俺も行ったらね、このままにしとけってなったと思う。こ
   の時は、この墓碑が生きた人間だと思ってるわけです、殺された人
   間たちのことを思ってる。

池田 痛烈ですね。茨本のり子に「木の実」という詩がありますね。戦
   死した日本兵の髑髏を傍にあった木の芽が引っ掛けて伸びて大木に
   なって。高いところの木の実に見えたのは、日本兵の髑髏だったと
   いう。

金子 うーん、これは絶対、落としちや困る句なんです。

池田 これがあって、その後があるんですからね。

金子 全部ある。現在までがある。

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