2015年8月21日

兜太句を味わう「衫の実の句いが好きだ嗅ぎすぎた」


衫の実の句いが好きだ嗅ぎすぎた     兜太   (句集・猪羊集)

池田 これやりますものね、よく。くんくんって。

金子 花粉症にいいって聞いたことがあってね。その頃なったんだよ。今もう殆どないな。

池田 嗅ぎすぎだったんじゃないんですか、先生。花粉症になるほど。

金子 嗅ぎすぎたなんて……。(笑)なんか不思議に60歳ちょっと過ぎて体全体弱ったんだ、あの時期に。それで約十年近く花粉症にやられてましてね。現在ほとんどないな。でも少し残ってる。60歳ぐらいまでは全く関係なかった。秩父は杉の多いところだからね、そこでずっと育ってきてね、全然何ともなかった。体の弱まりと関係するな、あれは。こっちの抵抗力がなくなると出るんですね。不思議な感じで、その頃できた匂です。あの匂いを嗅げば大丈夫だと、思っちゃったのかな自分で。匂い嗅いだことありますか?いい匂いですよ。

池田 杉の葉の匂いに近いんですか?

金子 そうです、青い妙な匂い。エネルギーを感じますよ。

池田 好きでやめとけばいいのに嗅ぎすぎるまで嗅いじゃうところがね。ああ可笑しい。(笑)

金子 そこがね、我輩の諧謔で。

池田 次が一茶の、ミイラ取りががミイラになったという。言葉ということにもう一回立ち戻った時期ということになるかしら。

金子 そのとおりですね。一茶が『詩経國風』で勉強した時期があったんです。それに刺激されてね、今の貴女が言われたように、自分の言葉をもっと拡げたり、新しくしたいと、そういう気持があった。それでこんな句が出来た。

池田 実はちゃんと調べたいのに、急で間に合わなかったんですが、この『詩経』の『國風』というのは、中では俗な世界なんですね。『詩経』の中では。

金子 ああ、『國風』がね。あれは民謡なんです。あれは孔子が作ったんだけどね。黄河流域の庶民だな、庶民の中にずっと流行っていた民謡を集めたの。『詩経』には三通りあるんですけど、そのうちで一番庶民的な、民謡なんです、ええ。

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