2016年1月4日

海程創刊50周年記念アンソロジーより 

麦の秋は黄金色だったが、
麦の需要がなくなり今は小麦畑で茶褐色です。

海程創刊50周年記念アンソロジーより  金子兜太
2012年5月刊 海程発行

左義長や武器という武器焼いてしまえ

差羽帰り来て伊良湖よ夏満ちたり

夏の猫ごぼろごぼろと鳴き歩く

老母指せば蛇の体の笑うなり

長寿の母うんこのようにわれを産みぬ

定住漂泊冬の陽熱き握り飯

熊飢えたり飢え知らぬ子ら野をゆけり

病いに耐えて妻の眼澄みて蔓うめもどき

合歓の花君と別れてうろつくよ

言霊の脊梁山脈のさくら

今日までジュゴン明日は虎ふぐのわれか

マスクのわれに青年疲れ果てている

わが修羅へ若き歌人が醉うてくる

津波のあとに老女生きてあり死なぬ

今も余震の原曝の国夏がらす

被曝の牛たち水田に立ちて死を待てり

被曝福島米一粒林檎一顆を労わり

泣く赤児に冬の陽しみて困民史

東京暁紅ひたすらに知的に医師たち

樹相確かな林間を得て冬を生く


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